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Unicompキーボード完全徹底解説

こんにちは!管理人のDonです。

今回はバックリングスプリング機構搭載のModel Mシリーズの後継機種を生産&販売しているUnicomp社のキーボードやそのほかUnicompに関することをまとめてみました。国内だとUnicompに関する情報が少なく困っている方も多いと思います。その方たちに参考になればとてもうれしいです。購入に関する情報もありなので参考にどうぞ!
 この記事は元サイトから移植したものです。

 

-追加のお知らせ-

2020/9/13 Unicomp公式サイトを確認したところ、キーボードの価格が約10ドル値上げされていました。ここから先の内容は値上げ前の価格で載せていますので注意してください。

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キーボードサイトをlivedoorブログに変更しました。↓

https://donkeyboard.livedoor.blog/Don’s キーボードラボ

今後はこちらの方でキーボードに関することをアップしていきますのでよろしくお願いします。

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-目次-


●Unicomp誕生の経緯

そもそもUnicompとはどんなキーボードメーカーか解説します。

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かつてIBMが生産販売していたModel M(Model Mシリーズの中にもいくつか種類があります)キーボードはバックリングスプリング(和名:座屈ばね機構)と呼ばれる仕組みを利用していました。

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バックリングスプリングとはなにか。画像を見てもらうとわかりやすいのですが、スプリング(ばね)が中に入っていますね。キーを押し込むと、このスプリングが折れ曲がります。これによって打鍵感を生み出し下の部品がメンブレンシートに接触することで入力されるというわけです。つまりメンブレンキーボードとなります。よくこのクリッキーな打鍵感と音でメカニカルと勘違いされますが、メンブレンです。(メンブレンはあくまで接点部分を指すのであって全てがラバードームとは限らない場合があります)

余談ですが、Model Mシリーズより前にIBMが作っていたModel Fシリーズは同じバックリングスプリング機構を用いていますが、こちらは接点部分はメンブレンではなく静電容量式でした。

そしてこのModel MキーボードはIBMから分社化してできたLexmarkという会社が製造を引き継ぐことになります。

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その後Lexmarkの従業員がキーボード製造の機械や権利を買い取りUnicompとして独立しました。

ざっくりとした説明ですが、Unicomp誕生の経緯について説明しました。

それでは次のトピックへドン!

バックリングスプリング機構の仕組み画像 https://web.archive.org/web/20060211004404/http://park16.wakwak.com/~ex4/kb/tech_bucklingspring_e.htm より

Unicomp サイト:https://www.pckeyboard.com/

IBM Model Mキーボード画像

https://clickykeyboards.com/
 


●Unicompキーボードの特徴

ではUnicompキーボードの特徴について説明していきます。

先ほども説明した通りUnicompはIBM時代から作り続けられるバックリングスプリングキーボードを製造し続けています

IBM Model M時代のModel Mシリーズとはやや仕様は異なるものの、バックリングスプリングの打鍵感を新品で試せるという利点があります。金型は、モデルにもよりますが、当時のものをそのまま使用しているので、やや傷のような跡が目立ちます。

Unicompのキーボードにもいくつか種類があるので、ラインナップが充実しています。この後各モデルごとに説明していくのでまた後程..

バックリングスプリングはクリッキータクタイルタイプとなっています。なのでCherry MX Blue などと同じ分類になりますね。気になる打鍵感はCherry MX Blueと比べると重く感じ、カチッっとタクタイル感があったのちやや重めのリニアとなっています。クリック感があったのちのリニアはかなりスプリングの力が強いのでかなり重く感じます。キーを打って戻る時はリニアでかなり強い力で戻ってきます。しかし打っていてとても爽快感があり重めが苦手な方でも使用しやすいと思います。ただ長時間の使用にはお勧めできません(苦笑)

打鍵音はとにかくうるさいですw Cherry MX Blueと比較すると、乾いた音になっており、ガッションガッションといった感じでしょうかかなり太い音がします。

キーキャップは昇華印刷となっています。なのでキーの印字は消えることはほぼあり得ません。Unicompは以前まではオリジナルのIBM Model Mと同様にツーパーツ構造(キーキャップがスライダー部分とキーキャップ部分にさらに分かれる仕様)を採用していましたが、2020年現在では、ワンパーツ構造になってしまいました。(一部キーはツーパーツ構造を採用していましたがこの調子だとすべてのキーがワンパーツになると考えていいでしょう)


●Unicomp製品紹介

それでは現在発売されているUnicomp製品の紹介をしていきます。

□Unicomp Classic シリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/Classic

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Classic 101 White

 

まずはこちらClassicシリーズです。

このシリーズはIBM Model Mと同様の金型を使用して作られているモデルです。画像は公式サイトからもってきました。ただこの画像は古いので現在のものとは少し異なっています。以前は上の写真のように右上にUnicompのロゴがありLEDは緑色でしたが、最新の機種はロゴではなく画像のようになっていて、LEDも青色に変更されています青のLEDはかなり眩しいです。今後改善されることを祈っています。

 

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最新はLEDの色は青色に変更されています。

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Classic 104 Black

現在はウィンドウズキーとアプリケーションキーがWin10仕様のアイコンに変更されている。

 

このシリーズはカラーがブラックホワイトから選択できます。配列はオリジナルModel Mと同じ101配列または、ウィンドウズキー(左右)とアプリケーションキーを加えた104配列、ウィンドウズキーが左のみでアプリケーションキーのある103配列から選択できます。接続端子はUSBまたはPS/2から選択できます。

価格はブラックが91ドルホワイトが94ドルとなっています。103レイアウトだけ+10ドルかかるので注意

ブラックモデルはキーキャップのカラーがグレーとなっています。これはキーの印刷方式が昇華印刷を採用しているからです。リアルフォースシリーズを思い浮かべてもらうとわかりやすいのですが実は昇華印刷は黒の文字しか印刷できない仕様になっています。それなのでリアルフォースシリーズは黒に黒の印刷なので見にくいわけですね。Unicompの場合はグレーに黒なので比較的見やすいです。しかしながらブラックモデルだとケースの傷(金型の劣化による傷)が目立ちます。ホワイトモデルだと傷はよく見ないとわからないレベルなのですが、ブラックモデルだと画面越しに見てもわかるくらい目立ちます。なので購入の際はこの点も考慮して購入するようにしてください。

LEDはかなりまぶしいです。ケースの背面にはケーブルガイドはありません。やや不便。しかしながらオリジナル(Lexmark)と同じ金型なので当時のものに一番近いものが欲しい方にはお勧めです。


□Unicomp Ultra Classic シリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/UltraClassic

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Unicomp Ultra Classic 104

 

このシリーズは、かつて日本で発売されていたIBM 5576-C01のケースの金型を使用したモデルになります。ちなみにバックリングスプリングの構造(スプリングの重さなど)はクラシックシリーズやほかのシリーズと同様です。

クラシックシリーズだとケースが大きすぎるよ!って方向けのモデルになります。(しかしながら多くの面で最近登場したNew Model Mシリーズのほうがよいこれはのちに説明する)

かつての5576c01はUSA製ということでおそらくその金型もUnicompが買い取り現在使用しているということでしょう。ケーブルガイドはあります。(おそらく意図的に作ったわけではなくただ単にc01鍵盤そのままの仕様になっているからと考えられる)c01の特徴的だったキーボード立てはなくなっています。まあコストカットするならなくすだろうけどねw 

 

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5576-c01キーボード立ての様子(keyboardnoobさんよりお借りした画像です)

c01鍵盤はトラックポイント(赤ポチ)付きのモデルで下にはマウスのクリックボタンに相当するボタンがありましたが、ultra classicにはそれがありません。ケース下にはそのボタンの名残があります。(見た目にかなり影響するかも)

ホワイトのモデルは、ケースの下のパーツがブラックとなっています。おそらくこれもコストカットの影響を受けています。

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この鍵盤には101配列がありません

ラインナップはホワイトブラックの2色から選べ、配列は104または103から選べます。端子はUSBまたはPS/2。価格はやや変則的でブラック104が91ドルブラック103が94ドルホワイト104が94ドルホワイト103が104ドルとなっています。また大きなフォントで見やすいLarge Fontキーボードは94ドルAPLも印刷されているモデルは99ドルSun仕様のモデルは105ドルから購入できます。

 

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Ultra Classic Large Font

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Sun Unix SpaceSaver USB Keyboard

 

Mac仕様のモデルは公式サイトでは別部類に入っているのでのちに説明します。
 

□Unicomp Ultra Classic 106 日本語JIS

https://www.pckeyboard.com/page/product/00UE4KPHA

 

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Unicomp Japanese Ultra Classic Black Buckling Spring 106 Key USB Keyboard

 

同じUltra Classicシリーズですが見やすいようにあえて分けました。

JIS配列版のモデルになります。かつてダイヤテックFilcoブランドで有名)が代理店として発売していたモデルになります。現在は購入できないと思われがちですが、Unicompから購入できます

このモデルはUltra Classic 104をベースに作成されているため無理やり変換、無変換、カタカナひらがなキーを置き換えた形で、奇妙な106配列となっています。

かつての5576-c01のケースを再利用しているということで、それの後継機種と考えてもいいかもしれません。


□PC 122 シリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/PC122

 

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PC 122 Black 5250 Buckling Spring USB

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PC 122 5250 Left Side Function Keys Buckling Spring USB White

 

このモデルはIBM M122 terminal keyboard(と思われれる?)のケースを再利用して作られているモデルです。

画像にあるように2種類の配列から選択できます。

画像下のキーボードの左側のファンクションキーは上に配置されているファンクションキーと同じ割り当てになっています。

このキーボードはほぼコレクターやマニア向けでしょう。通常用途として使うにはあまりお勧めはできません。ただこの配列に興味がある方や、変り者好きな方にはお勧めです。

こちらもそうですがバックリングの構造はほかのものと変わりません。
 

□Classic Trackballシリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/product/UB404LA

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このキーボードはその名の通りトラックボールがキーボード右上に配置されているモデルです。

キーボード本体はクラシックシリーズとかわりないですが、トラックボールが設置されているので、マウス操作がキーボード上でできるようになっています。

画像では見えにくいですが、トラックボールが設置されているところにはいくつかボタンがあり、クリックなどの割り当てがされているようです

トラックボール+バックリングスプリングがお好きな方にお勧めです。


□Spacesaver Mシリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/SpacesaverM

 

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こちらはブラックモデルですがキーキャップの色はpebble/pearl固定なので注意

 

このモデルはUltra Classic をMac配列にしたモデルになります。

名称は違いますがMac版のUltra Classicという認識でいいと思います。

Mac配列でバックリングスプリングを使えるということでさすがUnicompさんですね~。わたしはMac使いではないですが、Macを使用している方にはとてもうれしいモデルだと思います。
 

□EnduraProシリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/EnduraPro

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White

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Black

 

大事なことなので最初に言っておきます。

このモデルは国際発送していないモデルなので日本への個人輸入での購入はできません!

トラックポイントの損傷などが相次いだためか、詳しい理由は定かではありませんが、日本では購入できなくなりました。残念...

このモデルは日本語配列ではないことを除いて5576-c01とほとんど同じです。赤ポチことトラックポイントがついており、現在のThinkPadキーボードのいとこといってもいいでしょう。(元をたどれば同じIBMのキーボードにたどり着きます)ただ当時のトラックポイントとは構造が変更されているようなので、オリジナルと比べるといまいちかもしれません。

前途の通り、日本にいる限り入手不可能ということで、ダイヤテックさんが代理店として販売していたころのものを中古で購入するしか購入法はないです。。。


□Quiet Touch R/Dシリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/category/QTRD

このモデルはバックリングスプリングではなくラバードームを採用したモデルです。

バックリングスプリングスイッチには興味ないけど、Unicompのキーボードには興味あるよって方にしかお勧めできません。

ラバードーム好きの方は検討されてみては?
 

□New Model Mシリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/product/NEW_M


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このモデルはかつてのIBM SSK(テンキーレス版のModelM)のケースをフルサイズにして再利用したモデルです。通常のclassicシリーズよりも上部のベゼル幅が狭くなっています

最近発売されたモデルということもあり、現在Unicompから購入できるキーボードの中では一番ケースがきれいなモデルです。

価格はやや高めですがこれからUnicompキーボードを買うという方にはお勧めできるモデルです。

キーの色はpebble/pearlではなくgray/whiteとなっています。なのでオリジナルModel Mとは色が異なっています。


□近日発売予定 Mini M(Unicomp SSK)シリーズ

https://www.pckeyboard.com/page/product/Gift-Certificate (予約ページ)

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今後発売予定のテンキーレス版のキーボードです。

New Model Mと同じくかつてのSSKケースを利用しています。キーキャップのカラーも同じくgray/whiteでオリジナルとはカラーが異なります

ケーブルは着脱式となっています。

予定通りなら既に発売しているのですが、いろいろな事情で発売はしばらく先になりそうです。

テンキーレス版を待ち望んでいた方には朗報かと思います。楽しみですね!


□Ctrl⇔Caps Lock入れ替え専用キー

https://www.pckeyboard.com/page/product/CTCL

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ということでここからはオプションパーツの紹介になります。

このセットは画像の通りCtrlとCaps Lockキーの入れ替えが可能になるキーキャップセットになっています。

カラーはPebble(IBM Model Mと同じグレーカラー)とGray(Unicompブラックモデルのキーキャップのグレー)、Brilliant White(IBM Model Mシリーズの白にあたるPearlとは異なる色です注意してください)の3色あります。


□無刻印キーキャップセット

https://www.pckeyboard.com/page/product/KSET

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キーに印字のない無刻印のキーキャップセットになります。

スペースバーは付属しないので注意してください。カラーと配列を選んで購入できます。

価格は$20〜です。


□スペースバー(単品)

https://www.pckeyboard.com/page/product/SB

スペースバーの単品です。

104配列と103配列ではスペースバーの大きさが異なるので注意してください
 

□WASDカラーキーキャップセット

https://www.pckeyboard.com/page/product/WASD

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WASDキーがカラーになっているキーセットです。カラーが選べます。

ただぶっちゃけバックリングスプリングはゲームに向かない気がしますが、アクセントとして購入してもいいかもしれません。

 

□Pivot Plate & Spring Assembly

 https://www.pckeyboard.com/page/product/PVPLASM

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スプリング部分の部品です。メンテナンス時にスプリングが曲がって破損したり、無くしてしまったりした場合のために予備として購入してもいいかもしれません。

価格は一つあたり$0.2です。

 

□Front Function On Number Keys

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側面にF1〜F12が印刷されているキーキャップです。自分好みにカスタマイズする際に使えるかもしれません。unicompキーボードではありませんが、Brand New Model FというMODEL Fキーボードの復刻版のモデルなどに非常に相性良いかと思います。

 

□Media keyset (7 keys)

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https://www.pckeyboard.com/page/product/MEDIA

メディアキーのセットです。こちらもカスタマイズする際におすすめです。カラーが選べます。

価格は$10です。

 

 


ほかにも様々な製品があるので今後載せていく予定です。
 

●購入に関して

支払い方法ですが、日本から購入する場合、PayPalのみとなっていますので注意してください。

送料はキーボード1台で約60ドル、キーボード2台で約70ドルになるかと思います。あくまで目安ですので注意してください。
 

●最後に

いかがでしたでしょうか。

実際にUnicompキーボードを購入してこの独特な打鍵感をぜひ堪能してもらいたいです。

最後になりますが、なにか質問があればツイッター(https://mobile.twitter.com/keyboardlove_)のほうで私にメッセージを送ってもらえればできる限りお答えしようと思います。

というわけで今回はありがとうございました。

良きキーボードライフを!

 

画像:unicomp公式サイト

keyboardnoobさんTwitter

より引用

 

履歴

Don 8/6(木) 記事完成

Don 9/14(月) 内容追加